Story
195年の時を、
未来へつなぐ
築195年の古民家と、15代にわたり受け継がれてきた屋号「長右衛門」。図面の一本の線から、1日1組の宿になるまで。
「右衛門(EMON)」は、この土地で受け継がれてきた屋号「長右衛門」の一部をいただいた名前です。江戸時代から数えて築195年、15代にわたり受け継がれてきました。時を重ねた柱と梁はそのままに、私たちは名前ごとこの場所を引き受けています。
私たちがこの空間でお届けしたいと考えたのは、「泊まる場所」ではなく、「心がほどける時間」です。

15代が受け継いだ、
八千代の土地
千葉県八千代市萱田、都心から車で約45分。三方を鎮守の森にかこまれた敷地に、この家は建っています。15代にわたり、この土地で暮らしと屋号が受け継がれてきました。
この家が見てきたもの
森に囲まれた暮らしのなかで、この家は季節の移ろいと、地域の人々の行き来を見てきました。代が替わっても、建っている場所は変わりません。
195年という時間は、一人の人生では抱えきれない長さです。だからこそ「所有する」より「預かる」に近い感覚で、私たちはこの家に向き合っています。
住まいを、宿へ
この家を次の195年へ渡すために選んだのが、宿という使い方でした。地域の施工会社と設計士とともに、紙の上の構想を少しずつ空間へ変えていきました。
紙の上の線が、場所になる
この家の一つひとつについて「残すのか、入れ替えるのか」を決めていきました。古い建物の改修は、新築のように図面どおりには進みません。壁を剥がしてはじめて分かることがあり、そのたびに図面へ戻ります。
その繰り返しが、そのまま再生の記録になりました。土壁を落とし、下地から整え直す。195年ぶんの埃を払うところから、この家は宿になっていきます。
受け継ぐべきものを、手に取りながら
すべてを残せるわけではありません。受け継ぐべきものを見極めながら、現場で一つずつ手に取り、判断を重ねていきました。長い年月を支えてきた木の表情には、新しい素材では出せない深みがあります。梁や柱は、古民家が重ねてきた記憶とともに、その表情を活かして残しました。
壁の中に隠れるものほど、丁寧に。仕上げが終われば二度と見えない層にこそ、時間をかけました。残すものは残し、そのうえで新しい息吹を吹き込みました。
1日1組の、理由
図面の線から始まった再生は、家具の一脚を置くところまで来ました。この場所の静けさを、誰にも気兼ねなく感じていただきたい。だから、1日1組限定でお迎えします。
特別なことは、何もない一日を
ここには、特別なアクティビティはありません。あるのは、忙しい日常では見過ごしてしまうような、ゆっくりと流れる時間です。
受け継がれてきた195年の時間に触れながら、大切な人と向き合う一日を過ごしていただけたら嬉しく思います。お会いできる日を、心待ちにしています。


